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⑦誘~ユウワク~惑
数日後。
ユウとティアラはユウの家に来ていた。
もちろん、廃人に会うために-。
「よぉ、お二人さん。揃ってどうした?」
廃人はいつだって軽口を叩く。
「どこ行ってたんだ?」
ユウがたずねた。
「色々さ。その日によって違うがな。両親が出勤するのを見計らって家に戻る時もあるが、まあ大抵はぶらぶらしてるぜ」
ユウとティアラはしばし黙った。
「お、そうだ。おまえのゲームなんか持ってくか」
廃人がユウに言った。
「アシュト。わかってるはずだろ。本題はそれじゃない」
「そうだな」
廃人はティアラの顔を見た。
そして言った。
「俺はTAGUiにはならない」
ティアラは答えなかった。
ユウはティアラの表情をうかがったが、すぐにこう言った。
「どうして?」
「いくら理想を語っても結局はおまえたちのやってることはただの殺戮さ。復讐からは何も生み出さない」
「どうして、どうしてだ、おまえが一番憎しみを抱いて当然なのに」
ユウは驚いていた。
「ティアラ。オマエだってわかってるはずだぜ。あんたが本当に目指しているもんは、あんたが今していることからじゃ何も生み出されないってことを」
ティアラは結局最後まで、何も言わなかった…。
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