⑦誘~ユウワク~惑

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基地に戻ってから、ユウはティアラを捜していた。 ユウがたずねて、ティアラが自分の部屋にいたためしがない。 ツンピーやシェオルにもきいたが、地下施設にいなければ、自分たちにもわからないとゆうことだった。 ユウが捜している頃、ティアラは基地の外にあるベンチにひとり座っていた。 座って空を見ていた。 空を見て泣いていた…。 涙があふれでて止まらなかった。 自分でもどうすることもできない。 心の奥底からとてつもなく深い悲しみがこみあげてきて、それが瞳に熱いものとなって溢れ出てくるのだ。 ティアラは正面の夕日を見た。 「ぐっ…」 声にならない声をあげて頭をもたげる。 右手こぶしをひたいにあてて。 『なんて赤いんだ…』 ぽたぽたと涙の雫が地面に落ちる。 夕日もティアラにはゆがんで見える。 「もう限界だよ」 ふと声がした。 だが、ティアラの他には誰もいない。 ティアラの中のティアラが話していた。 ふと顔をあげると目の前に銃をつきつける男がいた。 自分だった。 「いつまで続ける気だ?」 目つきの悪いそいつは言った。 「まだとり戻せるよ」 別のティアラが言った。 ティアラの左側にすわって、ささやく。 子供の様な優しい表情をしている。 「まだだ!!」 後ろのティアラが日本刀をぬいて言った。 「もっと憎め!おまえをさんざんもてあそんで使い捨てにした人間たちを!殺せ!!」 「殺して」 気がつくと誰もいなくなっていた。 ティアラは自分の左手首を見た。 左手首に赤くはしる一本の線。 「早く死にたい」 また声がした。 ティアラは限界だった。 想像を絶するむなしさと、やりきれなさと、悔しさの中で精神がちぎれかかっているのを、なんとか抑えていた。 いつも見渡すと前後左右に四人の自分がいて、みなティアラの頭に銃口をつきつけていた。 ティアラは立ち上がって言った。 「俺が死んだらすべてが終わる」
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