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昼休み。
手塚陽子は部活の先輩に呼び出された。
用件は「部活が終わった頃部室に来い」とゆうことだった。
陽子は自分がなぜ呼ばれたのかだいたい理解していたが、逃げる気はなかった。
どちらにしろ、同じことだ。
陽子は他の女子とは同じようにしていなかった。みんな極端なミニスカートにし、紺色の(たいして収納がいいわけでもない)手さげ鞄を背中にしょい(バスの中で振り向く度に周りの人にぶつかりまくる)、ジャージをさいて安全ピンでとめていた。
だが陽子はそうしなかった。
校則を守っていたわけではない。
それを“かっこいい”と思わなかったからだ。
陽子は長いスカートの方が自分には似合うと思った。
鞄も使いやすくてかわいいやつを選んだ。
休み時間や放課後の行動も“自分がしたくない”と思ったことは皆がしていてもしなかった。
それじゃあ個性がないと思ったからだ。
陽子は自分らしさを大切にしていた。
それが上級生の目にさわったらしい。
放課後。
クラスの仕事で部活に出られなかった陽子は部活が終わるのをみはからって部室に向かった。
だが、階段を降りると体育館の前でユウが待っていた。
「どうしたの?」
「手塚。一緒にうちにきてくれないか」
そうゆうとユウは陽子を強引に学校から連れ出した…。
同じ頃、部室では例の上級生達が他校の男友達や先輩を呼んで待っていた。
「おい。やっぱ場所変えようぜ」
男のひとりが言った。
陽子の部活仲間が答えた。
「だから大丈夫だって、何回もここでやってんだって。放課後ここに先生来たことなんて一度もないし。意外と下に降りたら声聞こえないからさ」
「まじか、そんなに何回もやったのか」
「ねぇねぇその子、可愛いの?」
などと話していたがいっこうに陽子が来る気配はない。
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