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ピンポーン。
ユウがユウの家のチャイムを押した。
なんだか妙な気分だ。
自分の家を訪ねるなんて。
ドアが開き、アシュトが顔を出した。
「よぉ」
アシュトは理由もきかず、あげてくれた。
あがるも何も、自分の家だが。
「アシュト君、どうしたの?」
陽子がきいた。
「ん?何が?」
アシュトはさっぱりわからないと言った表情で答える。
「どうしてあたし達をよんだの?」
ユウはアシュトが陽子を呼んでいるとゆうことにしていた。
その方が陽子が断らないと思ったからだ。
「は?俺がおまえたちを…」
アシュトは逆にきこうとしたが、陽子の後ろで必死にジェスチャーや目で合図しているユウに気づいた。
「あ、あーあーあー。呼んだ、呼んだ。呼んだわ。ごめん、どわすれしてた。ほら、あれだ、今日親いないから久しぶりに三人でゆっくりしようと思ってさ」
『わざとらしい…』
ユウとアシュトは疲れた。
「そうなんだぁ」
陽子も戸惑っていた。
次の日、もちろん学校は休みになった。
生徒達は自分たちの通う学校にタグイが現れたことに興奮していた。
親や教師たちは大人らしい対処をしていた。
陽子は自分を呼び出した先輩たちが死んだことにショックを受けたが、ユウとアシュトが自分を呼び出したことを疑った。もしかして自分をタグイの襲撃の現場から逃がすためではないのか、と。
だが、だとするとユウたちはタグイと知り合いだとゆうことになる。
陽子は悩んだ。
そして、あの先輩たちが死んで泣く生徒は誰もいなかった。
次の日、学校は体育館のみを閉鎖し全校集会を開いた。
何人かの生徒は精神的なことを理由に欠席したが、その休んだはずの生徒の何人かは、街で遊んでいるのを目撃された。
実際は生徒達に戸惑いなどはほとんどなかった。
昼に授業が終わり陽子は一人で下校した。
まっすぐ家に帰る気分にはなれず、普段は通らないような道をできるだけゆっくり帰った。
考えなければいけない事はいくらでもあった。
アシュトのこと。
ユウのこと。
TAGUiのこと。
自分がアシュトと幼なじみだというのは、よく考えたらすごいことなのだ。
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