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他の人には体験不可能なことだ。
アシュトは全世界の科学者の興味をひく存在だろう。
考え事をしながら歩いていると陽子の目に映画館の広告がとまった。
ちょうど陽子が見たいと思っていた映画だった。
陽子は今の気分を振り払うために映画館に入ることにした。
だが、中は予想以上のにぎわいですでに満席、立ち見の状態だった。
だがすぐには帰りたくなかったし、映画の内容などわからなくてもいいから、とにかく時間を潰したかった。
だが映画の上映が始まると、陽子には映画の内容よりも気になるものが目に入ってきた。
左前でフェンスによしかかり、前のめりになった状態で立ち見している女子高生。
その後ろの男。
三十代前半だろうか。
その男がその子のスカートに手を入れていたのだ。
その子の両隣にいるその子の友達であろう二人は映画に夢中で気づいていない。
こわばったその子の顔。
あまりの混雑にその男とその子はほとんど密着している…。
陽子が見ているうちに男の行為はエスカレートしていく。
彼女の下着の中に手を入れ脱がせようとしている。
映画も少し山場を迎えまわりの観客も気づいていない様子。
ただ陽子が立っているところからは今行われている淫行がはっきり見えるのだ。
男は自分のジーパンのジッパーを音が鳴らない様にゆっくりと開けていた。
陽子は胸が締め付けられる想いだった。
今何もせずにいたら一生後悔する気がした。
自分らしくありたかった。
何も恐れずに彼女を助けたかった。
彼女は泣いているのか、鼻をすする声が聞こえた。
その瞬間「ちょっとごめんっ」
陽子の右にいたオールバックでサングラスをかけた男性が陽子の前を通り、そっちに向かって歩いていった。
そしてその男を思いっきり蹴り、叫んだ。
「てめぇっ、何やってんだっ?!」
あたりの人間が一斉にそこに注目した。
そこにはチャック全開で自分の陰部を握りしめた変態がいた。
そしてその男性は女の子の頭に手を乗せもう大丈夫だよとゆうと、警備員を呼び、陽子の方に歩いてきた。
そして「ありがとう。君のおかげだ」と言うと陽子を映画館の外につれだした。
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