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彼はもう一度「君のおかげだよ」と言うと話し始めた。
「君がずっと向こうを見てるから気になってたんだよ。ただ、暗いし、俺がいた場所からじゃよく見えなかったから」
陽子は黙って頷いた。
「あいつ常習犯なんだよ。前に俺のダチもやられたんだ…。あの変体のせいで妊娠して、自殺しちまったけどな」
陽子は衝撃を受けた。
その事件に。
だが、そんな重大な事件を淡々と話してしまう目の前の男にそれ以上の衝撃を受けた。
「だけど、君のおかげで犯人を見つけることができた。本当に礼をゆうよ。よかったらもう少し話をしながら歩かない?」
「いいんですけど…あの」
「ん?なに」
「名前…」
「ああ、俺は夜汽車ヱイカ」
「手塚陽子です」
それ以来陽子は度々エイカと連絡をとるようになっていた・・・。
ユウにもアシュトにも話せない事もなぜかエイカには話すことができた。
久しぶりに感じる“楽しい”とゆう時間だった。
今まで暗い事が多すぎたから・・・。
ユウといる時にはユウにもエイカのことを話した。
エイカにこうゆうところに連れて行ってもらったとか、エイカは聞き上手だとか。
ユウはおもしろくなかった。
今まではただの幼馴染だったし、陽子を恋人にする気持ちは無かったが、いざ陽子が他の男と親しくするとおもしろくなかった。
しかも、自分の全く知らない奴と知らない所で・・・。
昔からお互いに好意を持っていると思っていたし、今以上の関係になるのをさけていた気がしていた。
だが、そこに誰かが割り込む事はないと思っていた。
まして、アシュト以外の男が。
陽子は楽しそうに話している。
ユウはアシュトも怒っていると思い、アシュトの方を見たが、アシュトは複雑な難しい顔をしていた・・・。
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