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夜の街。
今日も人々は忙しくしている。
都会の空は濁り、ティアラの故郷とは違い、澄んだ美しい星空は見えない…。
ふと足を止めて流れゆく人々の表情を見た。
“人は皆、わがままだ”
古い歌の歌詞がティアラの頭に浮かぶ。
誰もが皆渇いていた…。
周りのことなど気にしない。
自分さえよければいい。
自分だけが大事。
自分の益だけを考える。
そうでない人もいたのだろうが…、善人がバカをみるこの世の中で、全てに疲れ、全てをあきらめてしまった人で溢れていた…。
「良いことって何なんだろう…」
自殺した小学生の落書きがフラッシュバックの様にティアラの脳裏をよぎる。
「だが、悪いことが何かくらいは解るよ」
ティアラはそう言うとピンク色に光る細い通りに入っていった…。
そこは不法入国者やパスポートを取り上げられ無理矢理売春させられた外国人女性達が並ぶ路地…。
電柱とゆう電柱に安く女性を買えるとゆうチラシがはられている。
若い外国人女性が手招きする物置くらいの小屋の中に入ると中にはベッドのみ。
ほかには何もない。
そんな小屋がところせましと、30センチの間隔もあけずに、この通りをひたすら並んでいる。小中学生を乱暴した違法なDVDを売りさばく男たち…。
時々泣きながら自国語で「帰して!!」と叫び、逃げ出す女性の姿も見られるが近所の人も客の男も同情などはもちあわせていなかった。
それを見たティアラは静かに胸ポケットから小太刀を取り出した。
鞘から抜き、鞘をそこらへんに放り投げる。
ティアラが右手をバシュッと振るとグリップの中に収まっていた分の刃が伸び出て、小太刀は日本刀に変化した。
ティアラは刀を両手でしっかりと握ると走り出した。
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