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「そこでなにやってるんだよ……、春野」
「待ってたんだよ!遅いんだよ!腕がつって組んでるのがとけないんだよ!?」
腕組みしたのを上下にブンブン振ってほどけないのをアピールしてくる。
腹にある貝を割ろうとするラッコのつもりか。
「アホなこと言ってないで、いったいなにを始めるのか教えてくれ」
春野は「んしょっ」と腕組みをとくと両手をぶらぶらさせていた。……ほんとに痺れてたのかよ。
「あたしはただ支田先生が2-Bの生徒全員で駆けっこするって聞いてるだけだよ。いやぁ~今からすごくワクワクするよ!」
「はぁっ!?」
俺が驚愕するのも見ずに、春野は普段よりも増して華やぐ笑顔で大きな瞳を輝かせていた。
体育館にはぞろぞろと2-Bの生徒が入ってくる。支田先生が最後に来て扉を閉めた。
とくに整列する指示もなくバラバラにちらばる生徒達をそのままに、みんなから見える前方の位置に支田先生は立った。
「……さて、改めまして2-Bの担任になりました支田です。今回の特別レクリエーションについて説明します」
支田先生に視線が集中し、たった一言だけまず告げるのだった。
「明日、席替えをします」
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