「奪い、奪われ」が怪盗の不文律

カズトの埋葬

葬式には雨が合う。

まるで、空が嬉し泣きしてるようじゃねーか。

空の上にいる連中は、俺たちからカズトを奪い、ドンチャン騒ぎでもしてるんだろう。

カズトのヤツも、そんなクソッタレ共と酒でも酌み交わして、ヘタクソな腹踊りを披露してるに違いない。

クソッタレ。

自分の娘の顔を見ろってんだ。

傘も差さずに泣いてやがるじゃねーか。

カズトよぉ、知ってるか？

お前の一人娘はな、孤児院行きが決まったんだぞ。

俺じゃ、お前の代わりにはなれないんだとよ。

そんなことを言ったら、お前のほうがよっぽど父親らしくなかったじゃねーか。

嫁を失ってからのお前は、本当に人間のクズだったよ。

ユキをほったらかして、あんな石っころを必死に守ってよ。

アホだよ、お前は。

本当に、大アホ者だ。

いいじゃねーか、盗んだ物を盗まれたって。

どうせそんな物、誰の物でもないんだ。

なんでお前は、自分の娘の幸せを考えてやらなかっんだ。

チクショウ。

今日が雨で本当によかったよ。

黙ってさえいれば、誰も俺が泣いてることに気付かないんだからよ。

お前みたいな男、死んで正解だったよ。