怪盗ハントの誕生

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おい、嘘だろ。 ボロアパートに帰ると、ドアの鍵が開いていた。 部屋の中は、言うまでもなく想像通りの光景だ。 久しぶりだった。 ここまで俺をバカにするヤツは、ここ数年はいなかった。 賞金稼ぎや用心棒をしていた時を一瞬で思い出させてくれた。 俺は、テーブルの上で面白い物を見つけた。 手紙だ。 『龍の義眼はもらった。怪盗シルキー』 怪盗のマナーとでも言うのだろうか。 こんなボロアパートに忍び込んで、よく鼻高々でいられるものだ。 きっと、シルキーとかいう怪盗は知らないのだろう。 まるで廃人しか住み着かなそうなこのボロアパートが、マルクス・ハントの家だということを。 俺は手紙を鷲掴みで取ると、無造作にポケットにしまった。 いいだろう。 カズトの遺品を取り返してやる。 それも、怪盗というスタイルで、だ。 相手が怪盗なら、俺も怪盗になってやる。 だが、一度でも相手が拳を振り上げれば、俺も容赦なく自分の拳を使う。 カズトが怪盗スタイルに拘ったように、俺もそれを真似してやる。 あいつにできて、俺にできないことなんてないんだ。 よく見てろよ、カズト。 俺はお前を越えてみせる。
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