パンを食べながら曲がり角を曲がる

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俺の名前は立花斎、唄之宮学園高等部の一年生だ!! ただ今、猛烈に遅刻しそうだから、通学路をもうダッシュ中だ。まさか、目覚まし時計の電池が切れてるなんて……。 「ひゃふぁい、ひゃふぁい、ひゃふぁいっ!」 そういえば、こんな感じでパンをくわえながら走ってる訳だから………ハッ!! もしかしてあの曲がり角を曲がると、俺の運命の人に出会えるんじゃ?! そうとなれば、斎いっきまーす!! 「ふぁわっ?!」 「ッ?!」 勢いよく曲がって、俺とぶつかった人は、烏の濡れ羽色の様な綺麗な黒髪で見とれる程綺麗な女の子で――― 「……さっさと退けよ重い」 口が悪い子でした。というか俺よりも身長が高いなー、170はあるんじゃないか? 髪も少し短いから、男子用の制服着てたら見間違いしそうだね。それはそうと、女の子に言われて俺ははじめて、女の子に覆いかぶさってるのに気がついた。おおっと、これは大変だっ。 「あっ、す、すみませんっ」 俺が慌てて飛びのくと、女の子は軽くスカートについたほこりを払って、冷めた目で俺を見てから鼻で笑った。……あ、あれ? 「つーかお前さ、今時パンくわえながら走るなんて王道ねーよ」 「へ?」 「そんじゃ、転校そうそう遅刻は嫌だから私は行くわ」 それだけ言うと彼女はそのまま去って行った。……遅刻? ……あっ!? 「そ、そうだった、遅刻遅刻っ!!」
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