7人が本棚に入れています
本棚に追加
これが恋愛ドラマにでてくる友人想いの俳優ならば、颯爽と扉を開け、中にいるであろうヒロインを意気揚々と連れ出してくるだろう。
しかし現実のぼくにはそんな度胸はなく、この扉を前にしてさっそく怖じ気づいてしまっているではないか。
この先のぼくの活躍しだいで彼と彼女の人生に大きな影響を与えると思うと否が応でも緊張せずにはいられない。
妙な不安に胸を締めつけられつつも「人の役に立ちなさい」と言うお婆ちゃんの口癖に勇気をもらう。
九州の片田舎に生まれ地元の商店街でラーメン店を営む両親と父方であるお婆ちゃんとの四人で暮らしていたのだが、いつも帰りの遅い両親のため家で過ごす時間はお婆ちゃんと過ごす時間が大半であった。
そのためか厳しくも暖かいお婆ちゃんに育てられ、すっかりお婆ちゃんっこになってしまったようだ。
うん、今のこの状況を見たら、いい子に育ったねぇ、なんて誉めてくれそうだなぁ。なんて考えていると、ついつい気持ちが奮い立つ。
最初のコメントを投稿しよう!