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キーンコーン…
キーンコーン…
少し雲がかかった空に小鳥が飛び交い、古びた感じの大時計のチャイムが静かに鳴り響く。
そんな空の下で、アニメみたいに食パンを口に加え、紺色に桜のエンブレムが縫い込まれたスクールバッグを背中にからい、朝から額に若干汗を滲ませながら、茶髪の少女が走っていた。
「まずいよ!早く行かないと、遅刻だよ!!」
走りながらそう叫んだ少女は、もはやこの状態が、いつもの朝の日課のようだった。
この彼女の名前は、暁 理緒。
理緒はここら辺の地域では有名だった。
なぜなら、石ころ等の障害物が何もない道路で盛大にこけたり、小学生でも簡単に解ける問題がさっぱり分からないという、とんでもなく頭が悪いからだ。
今日も盛大にこけながらも、理緒の通っている学校に向かって、走っていた。
理緒の通っている学校に行くには、他の普通の学校と違い、ただ歩いていくだけでは行けない。
理緒の通っている学校に行くには、学校が指定さしている場所から、空を飛んでいかないと行けないのだ。
理緒の住んでいる地域から近い、学校が指定している場所は、遊び道具も何もない公園だった。
公園につくと、理緒はブレザーのポケットから桜の形をしたバッチを取り出した。
するといきなりバッチが光り、理緒の体中をその光が包み、空をゆっくり、ふわふわと飛んでいく。
「今日も暖かい…」
理緒はゆっくりふわふわと空に上昇すると、スタッという音と共に地面に着地した。
しかし空に地面があるなんて、ありえない。
でも理緒は今、確かに地面に足をつけている。
…よく分からない土地に立っている、理緒の通っている学校は、春花学園高等学校。
人々には見えない、空に浮いている島にある、一年中桜が咲き乱れている私立中学校だった。
理緒は笑顔で学校の門に入る。
するとそこには、鬼のような恐ろしい目を理緒に向けて、腕を組んで立っていた、ピンク色の髪の少女の姿があった。
「理緒、また遅刻ぎりぎりだ!!」
そう叫んだ少女の名前は、柊 悠。
春花学園といえば悠の名前があがるほど、この学校を代表する、超天才な人型ロボット。
「悠、何故ここに!?」
「今日は我が遅刻チェックなんだ」
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