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そう。
この春花学園には、遅刻や制服の身だしなみ、学校内のルールを注意する、風紀委員会が存在しない。
なので春花学園では第2学年が、10人ずつを1日交代で行っている。
というか、何故2年生が行わなければいけないのだろうか。
理由は春花学園の理事長によると、第1学年は入学して色々この学校の事を覚えなければいけないし、第3学年は受験生なので、風紀委員会みたいに他の事にはあまり集中できない、という事だそうだ。
集中できないというのは、この春花学園では特に勉強に力を入れているので、『とても頭の良い学校』として、公私立関係なく全国の中学校に知られている。
もちろん春花学園のレベルも高い為、この春花学園に入学してくる新入生は、とても頭の良い子ばかりである。
そしてそんな頭の良い子達が入学してくるので、この学校の授業の進む早さは、とんでもなく早い。
おまけにこの学校は勉強に力を入れているので、赤点は60点と、普通のレベルの高等学校に通っている子にしたら、絶叫するほどとても高い。
なので第3学年に上がり受験生になると、普段勉強している難解問題よりもさらに難しい、超難解問題に取りかかる為、普段から早い早さで授業が進んでいるのが、さらに早くなるので、他の事に手がつけられなくなるのだ。
しかし第2学年は受験生でもなく、別に1年生みたいに学校の事を覚えなくて良いし、学校にもすっかり慣れている為、第2学年が風紀の仕事を担当するのに一番適している、という事だそう。
なので、理緒の親友で2年生である悠が、春花学園の大きな校門で、名簿に遅刻者の名前にチェックを入れていたのだった。
そして、この校門にぼーっとつっ立っていた理緒も、その遅刻者の中の一人だ。
「理緒、もうすぐで遅刻のチェックを終えるから、もう少し待ってて」
「うん、解った!」
理緒は悠を待つ間、校門を入ったすぐの場所に広がっている、綺麗な緑色の野原へ行った。
いろんな花が咲き乱れ、花の上には数匹の蝶がひらひらと舞っている。
そして珍しいことに、この学校の広い野原には、凶暴ではなく人懐っこい野生の大きめのハムスターが、たくさんいるのだ。
理緒はそんな可愛いハムスター達とじゃれることにした。
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