10人が本棚に入れています
本棚に追加
そう。
この春花学園にはなんと、私立なのでもちろん存在する理事長先生、学校をしっかりまとめる学校長しか、教師は存在しないのだ。
理緒は悠に言ってから、その事に気付く。
「相変わらず、理緒はバカだなぁ」
教卓の前に座っていた、理緒の隣に座っていた優生は、慌てる理緒の顔を見てお腹を抱えて大笑いをした。
そんな優生を見た理緒は、ムスッと優生に怒って言う。
「バカじゃない!優生のバーカ!!」
「俺はバカじゃねぇよ!!」
理緒はバンッと机を強く叩き、ガタッとイスを倒して勢いよく立つ。
優生も逆上したのか、理緒と同じように勢いよく席を立つ。
教卓にうんざりだというような顔をした悠を挟み、2人して鋭い目をして睨んでいると。
キーンコーン…
キーンコーン…
大きく古そうな大時計の、大きく鳴り響くチャイムの音と共に、クラスメート達は一斉に席を立ち、何も書かれていない黒板を見る。
悠は教卓から自席に戻り、クラスメート達と同じように、誰もいない黒板の方を向く。
そして。
「「礼っ!!」」
悠の声ともう一人、音夢の女の子みたいな高い声が、2-Cの教室に響きわたると、クラスメート達は一斉にお辞儀をした。
先程までケンカをしていた理緒と優生も、すぐにケンカを止め、クラスメート達と同様の行動をとった。
しかし理緒だけは、着席した後の行動が少し違った。
悠や音夢、優生を含むクラスメート達はスクールバッグからパソコンを取り出し、すぐに開けて準備を始めたが、理緒はパソコンを出さず、机に顔を隠して居眠りをする体勢に入った。
「チャイムなったぞ、パソコン開けよー」
優生が理緒の居眠りを阻止しようと、ゆさゆさと体を揺らしながら理緒に呼びかける。
「えー…勉強やだよー、遊んでたいよ」
「ワガママ言わずに、パソコンを開け!!」
ちなみに、春花学園の授業時間は60分。
理緒のクラスの1時間目の授業は英語だった。
悠や隣に座っている優生は集中して勉強していたが、理緒は英語なんて1問も解らないので、60分間パソコンを開かず、寝ることにした。
最初のコメントを投稿しよう!