春花中委員会記録1

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  春花学園では全く教科書は使わず、学校が推薦するパソコンを使って、授業をする仕組みになっている。 その学校推薦のパソコンは、普通の家電屋でも売っていそうな、ごく普通のノートパソコンだが、そのノートパソコンには国語や数学等の主教科、家庭科や保健等の副教科まで、たくさんの教科書の内容が詰め込まれている。 だが勉強用のノートパソコンのはずなのに、春花学園の全生徒のノートパソコンは、インターネットが繋がるようになっているのだ。 もちろんインターネットに繋がると分かれば、勉強よりも遊びに使うようになってくる生徒も、多く出てくる。 しかしインターネットに繋げたら、どの生徒がいつ繋げたのかが分かるようになっているので、インターネットに繋げて1分とかからないうちに、理事長から呼び出しをされる。 ここまでするのだから、もちろんインターネットに繋げて遊ぶのは禁止である。 なら何故インターネットに繋げれるようにしてあるのだろうか。 それは理事長があえて、繋げれるようにしてあるのだ。 もしインターネットに繋げるような事があれば、停学または退学…と、理事長は厳しく罰する。 …そう、これは春花学園をより良くしようとする、理事長の罠なのだ。 …1時間目の英語の授業で勉強が分からないと言って、全くノートパソコンを開かなかった理緒も、ちゃんとノートパソコン自体はは所持している。 理緒もこのノートパソコンがインターネットに繋がると知った瞬間、すぐに繋げて動画を見ようとした。 もちろん理事長に、インターネットに繋げた事がバレてしまい、呼び出しされたこともある。 しかし理緒は理事長に怒られたものの、停学や退学にはならなかった。 普通なら理事長に呼び出されただけで、全生徒は青ざめた顔をするのだが、理緒はいつもどおりの笑顔で…。 理緒は不思議で溢れている。 理緒はこの後も、10分間の自由時間になれば素早く起き、授業時間になれば素早く寝に入った。 最初はクラスメート達も理緒に声をかけていたのだが、声をかけ続けても変わらない理緒になれたのか、今は誰も声をかけようとしなくなった。 理緒は放課後まで、ずっとそれを繰り返した。  
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