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そして、あっという間に放課後。
理緒の在籍する2-Cも、明日の予定などをささっと伝えて終学活を終え、すぐに解散した。
2-Cの多くの生徒は、部活動や掃除当番にあたっている為、机の上に置いてあるスクールバッグを持ち、小走りで教室を出て行く。
「ふぅ、やっと学校終わったね」
悠と音夢の一声で終わった終学活、部活動や掃除当番でほぼ生徒がいなくなった教室で、理緒はすぐにグッと手に力を入れ、上に向けて背伸びをした。
理緒のすぐ後ろの席にいた音夢が、理緒のポロッとこぼしたその言葉を聞いて、素早くツッコミを入れた。
「お前は全時間寝てただろ!?」
「さっ、帰ろっ♪」
音夢の素早いツッコミを笑顔で受け流した理緒は、鼻歌を歌いながら、上機嫌で教室を出て行った。
「聞いてねーし…、はぁ…」
「しようがない、理緒はいつもああだろう」
深いため息をついた音夢は、以外と静かに理緒の後ろ姿を見送った。
すると理緒の隣の席に座っていた優生は、音夢の肩をポンッと軽く叩き、腕を組む音夢と一緒に理緒の自由気ままさに呆れていた。
それは掃除当番で机を雑巾で拭いたりする為に、教室に残っていた悠も、優生と音夢に同感のようだった。
…悠が掃除を終え、道具を片付けて優生と音夢の所へ戻ってきた頃。
理緒も上機嫌で、どこに行っていたのかは分からないが、スキップをして戻ってきた。
理緒は悠と優生、音夢のしらけた顔を見て、頬をぷくーっと膨らませて、腕を組んでいた。
「理緒、理緒は何でそこまでバカなんだ」
「バカって言うな!!」
優生が理緒に問い、理緒が優生に両手を上げて叫んだ瞬間。
ピーンポーン、
パーンポーン…。
と、学校中にお知らせのチャイム、一気に眠くなりそうなオルゴール音が響き渡った。
このオルゴール音のチャイムは、理事長が学校内の誰かを呼び出すためのチャイムである。
このチャイムは、大体校長を理事長室に呼ぶときに鳴る。
『2年生C組の暁、吹雪、飛鳥、柊は、至急理事長室まで来なさい』
「「………」」
雑談をしていた悠も音夢も、今さっきまで教室で大はしゃぎしていた優生と理緒も、そのお知らせを聞いた瞬間、ピタッと体が固まったように止まった。
その4人の中でも、悠はそのお知らせは予想外だったのか、目を大きく見開き、体をガタガタと震わせている。
「…俺達、理事長に呼び出された?」
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