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お嬢様がニヤリと笑った。
心なしか背筋がゾクッとした。
そんなおいらにお嬢様は色っぽく言う。
「そ~~言いながらあたしの胸を触っているのだぁ~れかなあ~?」
おいらはそうお嬢様に呟かれ自分の手がある場所を凝視する。
右手 お嬢様の右脇
左手 お嬢様の左脇
「えっと……(触って)ないですね」
おいらはもう一回確かめ、触っていないのを見てからお嬢様返答する。
「なっ、無いって胸が!?」
おいらはそんな事言ってないがそう自分で取ってしまうのは自分がそう思っているからだろう。
「触っていないってことです。お嬢様のそのぉ~~……」
「そのぉ~~……?」
おいらはそこで触っていないで言葉を切れば良かったと失敗した自分を恨む。
「え、えっと……その……」
「ら少しばかり有りますねと言ったら手を引こうと思ってたけどねぇ……さあ~って、そんな発言ができない弁舌上手はどう動くかなぁ~」
「うっ………」
いつの間にかお嬢様の中では弁舌上手のレッテルが張られているのはさて置き、今も厭らしくにやけるお嬢様の罠に引っかかってしまい答えなくてはいけなくなってしまった。
そうだこれだ。
今なら頭上に電球がついた人の気持ちが痛いほどわかる。
「えっと………餅……ですかね」
「餅?」
「はい」
「どういう意味?」
お嬢様が肩に強く手を巻きつけ、少し首を絞めて半ば強制的に聞いてくる。
「お嬢様は餅作るときどんな音するかご存知有りますか?」
「え、えっと………」
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