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目をつぶって備えた衝撃がなかなか来ない。
見回せば闇に留まっているかのような異様に長い落下時間。
不意に明るむ視界。
上も下も青かった。
どちらが上かも実はもう判然としないが進行?方向が下だろう。地殻を抜けていなければ。
そして一方の青はどちらかといえば碧だった。
………………。
「日本人がハワイでゴルフをした。張り切ってスィングした彼のボールは飛んで飛んで………?」
じゃぱーん。
現実逃避をしかけた瞬間、ようやく衝撃が僕を迎えてくれた。
見渡す限りの蒼海に着水。
どうして空から海に落下したんだ?僕は枯れ池に落ちた筈ではなかったのか。
ああ…これじゃ制服明日着られないな。私服登校なんか死んでも厭だ。予備を買っておくべきだった。
咄嗟に浮かんだどちらがウェイトをおいて考えるべき問題か、もう判断するのも無駄な気がした。
というか、僕は、泳げない。
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