不思議の国の有田君

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駄目だ。

埒が開かない。ってゆうか打つ手はない。

ずり下がる眼鏡を押さえあげようとして止める。
両手が泥まみれなのに気がついてしまった。眼鏡は出来るだけ綺麗に保ちたい。

悪あがきでしかないけど。
レンズはすでにうっすらびっしりと土埃コーティング済みである。というかもう、全身隈なくどろどろである。
光が届かない植え込みの下をどうにか改めようとあがいた結果だ。いまいましい。

暮れなずむ学舍の光と影のなか、去り行く同輩たちに贈りたくてたまらない詞はただひとつ。

…………誰か、一人ぐらい、手伝えや！！

飼育委員は楽だ。

四月にそういう触れ込みで勧誘されて、確かにこの二ヶ月、今日この日まではその通りだった。

有田サスケ。目下脱走ウサギの捜索中。

いい加減泣きが入りそうな状況。