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「ホントに邪魔だな」
さっきから慶次がピーピー煩い。
小学生の吹く音の外れたリコーダーか!と思いながら、慶次がペラペラ話している世間話を聞く。
「そういえば、Keyちゃんは?」
「Keyは連れて来られないよ」
「なんで?具合でも悪いの?」
「外の空気に適応できないからだよ」
何と無く察したのか、それ以上は聞かなかった。
そのかわり紗奄が口を挟んだ。
「研究所って、どんな所なの?」
慶次が話そうとしたのを制し、言う。
「研究所ってのは、色々な生物を作っている所だ」
「ダッドもそこに居たんだよね?なんで辞めちゃったの?」
「愛と紗奄と一緒に暮らしたかったからだ」
「研究所の中じゃダメだったの?」
極自然に紡がれた言葉が心を突き刺した。
この子は何も知らない。
何も教えたくないし、知る必要もないのだ。
無理に知らせることもないだろう。
「ダッド?」
「丘の上に行ってくる」
そう言って、慶次を連れて外に出た。
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