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私は話してはいけないと言われたことを紗奄に話した。
これ以上嘘を吐いていくのは正直辛い。
「マァム、私の本当のダッドとマァムだよね?」
不安そうな声で聞かれた質問に、私は首を横に振った。
「紗奄、アナタと私は政宗のいた研究所で作られたの」
「…ぇ…」
何故あの人は教えないのか。
それは、こうなることが目に見えたからだ。
自分達がそれしか分からない事も…。
―――私…政宗のこと何にも知らないんだ…
今まで触れなかったのは、このことを気付かせない為だったのか…?
それとも単に私達を“モノ”として見ていて、無駄な知識は要らないと考えているのか…。
「紗奄のダッドは政宗だとしても、マァムは私では無いと思うよ」
私が水の中から出て来たその日に、紗奄は形になっていた。
だから、その時出て来たばかりの私ではない…ありえない。
「…愛…」
丁度、部屋に入って来た彼の言葉が後に続く。
途端に悲しさと罪悪感とが混ざり合う。
「ごめんなさい」
「教えなかった俺が悪かった」
「ぇ…」
「今から全部話す」
いつかこうなると分かっていた俺は、最初から最後まで全てを話した。
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