感情の片隅

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明くる日のこと、我の肩書きは第1類研究官から默従幹部に替わった。 つまりは昇進といったところ。 ついでに部屋も替わり、長曽我部という奴と同室になった。 …正直、五月蝿い。 しかも少し歳の離れた双子の姉弟を連れての同居状態。 まぁ、兄とは違って頭の出来の良い双子はすぐに異動先の部屋に帰るだろう。 できれば兄も連れていって欲しいものだが。 2人部屋に4人とか…狭苦しい。 色々と本音が出るところだが、敢えて我は黙っている。 今度からは黙ることも仕事だからな。 ――――コンコン ドアを叩く硬質な音が聞こえ、扉を開ける。 「こんにちは毛利さん」 扉の向こうに立っていたのは、動物科で名を馳せている前田まつという人物。 一体我に何の用だ…? 人間科で従事していた我にとって、ほぼ無関係に近い人物だ。 「貴方に届け物です」 そう言って紙を渡される。 受け取ると、すぐに彼女はどこかに行ってしまった。
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