0人が本棚に入れています
本棚に追加
「長曽我部、明日九時に実験体が来る」
可愛い双子と遊んでいる同室の男に一言そう言った。
それを双子が興味津々に聞く。
言われた男の方は、ふぅんと一言発しただけ。
「実験体って、どんなの?」
「動物とかじゃないの?」
「そうなの鬼?」
「分からないよ姫?」
そんな双子の会話に一言も口を挟(ツッコ)まない兄。
さほど興味が無いと見える。
「ねぇねぇお兄ちゃん」
「実験体ってどんなの?」
話が振られると、興味無さそうな態度から一変。
「可愛い女の子」
阿呆面提げた田舎者が何を言っている。
バカ過ぎる回答を発した男は、そのまま双子に言った。
「可愛い女の子が来るから、その分狭くなる。さて問題、このあと俺様は何て言うでしょう?」
何で問題形式なんだとツッコミたいところだが、優しい我は敢えて何も言わないことにした。
「え~と…」
「実は言うと性別判らない。ついでに遠回しに帰れって言ってる」
なんて(冷たいのに)冷静で賢い答えなんだ…。
「おっ、正解。そろそろ2人でも生活出来るだろうからって話だ」
「今日中に帰るの?」
「元就に聞いてみろ」
なぜに我に話を振るのだ。
お前の双子だろ。
「元就さん、今日中に帰らなきゃだめ?」
とてとて歩いてきた姫若子に聞かれる。
兄とは似ても似つかない容姿と態度に、これで最後だと甘い考えが過ぎり…。
「明日の朝九時まで許す」
こんな言葉が口から零れた。
最初のコメントを投稿しよう!