感情の片隅

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「長曽我部、明日九時に実験体が来る」 可愛い双子と遊んでいる同室の男に一言そう言った。 それを双子が興味津々に聞く。 言われた男の方は、ふぅんと一言発しただけ。 「実験体って、どんなの?」 「動物とかじゃないの?」 「そうなの鬼?」 「分からないよ姫?」 そんな双子の会話に一言も口を挟(ツッコ)まない兄。 さほど興味が無いと見える。 「ねぇねぇお兄ちゃん」 「実験体ってどんなの?」 話が振られると、興味無さそうな態度から一変。 「可愛い女の子」 阿呆面提げた田舎者が何を言っている。 バカ過ぎる回答を発した男は、そのまま双子に言った。 「可愛い女の子が来るから、その分狭くなる。さて問題、このあと俺様は何て言うでしょう?」 何で問題形式なんだとツッコミたいところだが、優しい我は敢えて何も言わないことにした。 「え~と…」 「実は言うと性別判らない。ついでに遠回しに帰れって言ってる」 なんて(冷たいのに)冷静で賢い答えなんだ…。 「おっ、正解。そろそろ2人でも生活出来るだろうからって話だ」 「今日中に帰るの?」 「元就に聞いてみろ」 なぜに我に話を振るのだ。 お前の双子だろ。 「元就さん、今日中に帰らなきゃだめ?」 とてとて歩いてきた姫若子に聞かれる。 兄とは似ても似つかない容姿と態度に、これで最後だと甘い考えが過ぎり…。 「明日の朝九時まで許す」 こんな言葉が口から零れた。
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