感情の片隅

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「モウリ…?」 小さな声が呟き、何かと目を向ける。 「なんだ?」 「シタのナマエ…なんてイうの…?」 いきなり呼び捨てにされて何だと思ったら…何も知らされて無かったのか。 「元就だ」 「モトナリ」 名前を教えたところで部屋に着き、扉を開ける。 中に入ってみれば、当然のことだが同居人はそこにいた。 「お帰り。その子が噂の?」 「あぁ、ニンゲンのSecondだ」 「元就にそっくりな」 突然何を言い出すかと思ったら…。 「馬鹿なことを申すでない長曽我部」 Secondの栗色の髪と翡翠色の瞳を見て言ってるらしい。 確かにうっすらと似ているかも知れないが…。 「名前とか、どーすんの?」 「Secondで良いではないか」 「セカンドって…番号じゃねぇか。可愛い女の子なんだから、何か付けてやろうぜ?」 「例えば?」 「ナリ…とか?」 大方我の名前からとったのだろう。 というか、そうだな。 我は名前なんて付けたことが無いから、もうそれで良いと思う。 「それでよいわ」 同居人の提案と我の諦めで、Secondの名前はナリになった。
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