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あの日から間もなくして、俺は受取人になった。
厭味や皮肉を篭めているのか、時期は早い。
かったるいと思いながらも受け取りに行くと、思わぬ実験体が出迎えた。
「長曽我部さん、貴方が預かる実験体ですよ」
そう言って横にいた実験体を渡される。
似過ぎている容姿は何を模しているのか…。
翡翠の瞳と、栗の髪。
無言の皮肉を具現化したような実験体。
「ヨロしくおネガいします」
ペコリと下げられた頭を見て、あいつと同じなのかと思った。
癖のある長い髪が揺れ、澄み切った翡翠が微笑む。
それを見た臆病な俺は、あぁ…と口から漏れた声で返事をするのが精一杯だった。
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