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目が覚めた時、厭な予感がした。
いつの間にか長く寝ていた俺は、気付かされる。
―――泣いてたのか…?
枕元をぐっしょりと濡らすほどの涙。
目元が紅く腫れているだろうと鏡を見てみるが、俺のじゃない。
「起きたか、馬鹿者」
冷たい声が部屋に響く。
その横にチカの姿は無い。
ナリの様に人懐こい性格だから誰かの傍に居るはずなのに…。
俺の視線が迷った。
厭な静けさ。
「チカに切り捨て令が下った」
その言葉が元就の口から零れた瞬間、勝手に涙が溢れた。
意味が解らない。
何の欠陥も無いチカが斬られるなんて…。
「まだ…檻に居るのか…?」
真っ白になった頭で、理由も聞けずに口を開いた。
ほんの僅かな希望。
それに託すしかなくなった。
「まだ…いる…筈だ……」
彼の言葉が濁る。
鈍重な鉄塊の様になった足を引きずって廊下を走り出す。
壊される前に…。
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