第三話 イミテーション

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目覚まし時計が鳴る前に起きるとすでにその日は勝負に勝った気分だ。 俺はしたり顔で目覚ましを見下した。 へへ……どうだ……今日はお前の世話にはならなかったぜ……! しかし隣の女は……まだ寝ている。 「おーい起きろー」 そう言って杏奈の肩を揺さぶると、杏奈は「むにゃ」とか「ふにゃ」とか言って布団から半身を起こした。 「ほら、とっとと歯を磨いて着替えな」 と催促すると杏奈はこっくりとうなずくき、その場でパジャマのボタンを外し始めた。 「おい! 洗面所で着替えろ!」 どうせ我に返ったときに殴られるのは俺なんだろ?分かってるさ。 着替えを手にのそのそと洗面所に入っていく杏奈を確認し、俺もとっとと制服へと着替える。
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