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「私ミルクティーで」
少女は敷きっぱなしの布団の傍らに俺の座布団を勝手に敷いて座り込み厚かましくもミルクティーを要求してきた。
「淹れてやるから飲んだら帰れ」
「あ、ミルクは人肌にあっためてな」
「ねえ、話聞いてる?」
ちなみに電子レンジなどという殊勝な物はこの部屋に無い。わざわざ鍋でミルクを暖めるのも面倒なので紅茶にそのまま投入してやった。
少女は不満そうな顔をしたが黙って一気に飲み干した。
「ふ、紅茶を淹れる腕が落ちたようだな」
自分から要求しておいて不敵な笑みで一方的にダメ出しされた……
あと、腕が落ちたもなにもこいつにミルクティーを淹れてやったのは生まれて初めてだから。
「さあ。飲んだならとっとと帰んな」
「まぁいいさ。私の名前は伊吹杏奈」
どうやらこの女、杏奈(あんな)というらしい。どうでもいいけど
「へぇ。いい名前だな。帰れ」
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