第一話 押しかけ少女

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「もし私を家におかないと言うのなら……」 どうなっても知らないぞ。といいたげな顔で杏奈は不気味な笑みを浮かべた。 「真之さんに無理矢理犯されたとふれ回る」 こいつなに言ってんの!? 「ちょっと待った。それは洒落にならないぞ」 「嫌か?」 「嫌だ」 「ならばおけ」 「嫌だ」 すると杏奈はふぅ……とため息をつきやれやれと首を振り、 「全くお話にならないな」 と言ってきた。 それは俺のセリフだ。 「大体見ず知らずの他人を家におけるか」 そう言うと、杏奈は意外にも少し寂しそうな顔になった。 「頼む……真之さんじゃないとダメなんだ……おいてくれ……」 今度は消え入りそうな顔で懇願してきた。 くっ……駄目だ……俺はこういうのには弱いんだ……
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