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「穹ー」
「………………………」
「返事がない。ただの穹のようだ」
「…………ん?」
自分に声をかけていた事に気付き、穹は顔を上げた。
「よぅ、慎吾。どした?」
「どしたって……お前もう授業終わったぞ?いつまで教科書開いてんだよ」
「む?」
穹は壁時計を確認する。
確かに授業は終わっていた。
「ありゃ、いつの間に」
「おいおい……。もしかして明日の事、気にしてんのか?」
「違うと言えば嘘になるな。その通りかもしれん」
慎吾は困ったように頭を掻いた。
「まぁ……仕方ないだろ。先生も承諾してるんだし……」
「それはわかってんだよ。でもさぁ……やっぱり毎回ハブられるのって、ねぇ?」
「別にいいじゃん。実技がないってのは羨ましいけどなぁ?」
慎吾の楽観的考えとは裏腹に、穹は難しい顔をする。
「でもなぁ?一回は受けてみたいわけよ。能力実技試験ってやつ」
理由は単純。楽しそうだったからだ。
「まぁ、お前は特殊だしなぁ。レベル0じゃ試験のやりようがないからな」
「なんでかなぁ……」
穹は深いた溜息を吐き、力なく席を立った。
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