制度と格差

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能力試験。 それは筆記と実技の実力を測る、世間一般でいう“テスト”である。 試験は2日かけて行われ、二つの平均点が最終的な点数になる。 特に実技。 これは所謂“模擬戦闘”であり、生徒は試験用ロボとの戦闘を行う。 試験用ロボはひたすら生徒の攻撃を回避するというもので、時間内に攻撃を一度でも当てなければならない。 攻撃手段を持たない生徒は能力を駆使し、ロボットに触れるだけでも良しとされている。 穹の興味が向く理由は、これらの能力をフルに活かした試験内容だということだった。 しかし、彼は実技試験を受ける事は出来ない。 レベル0。 過去に数名存在し、その存在したという記録しか残されていない、無能力者。 文字通り、能力を持たないとされる人間であり、研究も全く進んでいない。 穹は稀少なレベル0であるが為に研究対象とされ、危険性を僅かにでも伴う行為は禁止されていた。 例外なく、実技試験も禁止である。 能力がなくともロボットに触れるくらい……。 そう考え、これまで体を鍛えてきたが……やはり試験は受けられなかった。 国による規制だから諦めろ。点数は全体の平均点を足しておくから心配するな。 担任からはそう告げられているのだが、やはり穹は不服だった。
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