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「かなわないなぁ…ホント」
スッとグラスを手にとりゆっくりと一口し
「うん、なんかホッとするかも…」
はぁ…
暖かな店内でも、彼女の吐く息は僅かな白さを帯びた。
「それ、僕からのサービスです」
「え?ダメよ、そんなの」
「メニューにもないですし、なにより。使ったお酒、僕の自前ですから」
微笑みながらそう告げると
「…うん」
優しい声が耳に届く。
それを聞いて
「じゃあカズさん呼んできますから、少々お待ちを」
テーブル席を片付けていたジュンを呼び
「10分ぐらい抜けるかも。間に合わなかったらケータイ鳴らして?」
そう伝えカウンターから店内奥の事務所に向かった。
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