scene.Ⅰ 憧れの代償

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「バカにしてる?もしかしなくても…」 表情は緩んでも、言葉は強気 そのギャップが、また可笑しい。 「そんなことありませんよ。純粋にそう思ったんです」 水を止めて手を拭きながら、今度はジッと彼女の目を見つめ、そう返した。 「おばさん、からかって楽しい?」 「お姉さんだから、余計にかわいく思えるんです」 そうなのだ。 目の前で無邪気に彼氏の愚痴をぶちまける彼女は僕より10才以上年上。 23の子供な自分からすれば、これだけ離れた年の女性の無邪気さが可笑しくて仕方ない。 「相変わらず上手いね、コウはそーゆーの」 フフッと微笑む、既にご満悦のようだ。 「本心ですからね」 言いながら微笑み返す。 まぁ 一番笑えたのはそこじゃないけど。
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