scene.Ⅰ 憧れの代償

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「僕じゃマスターの足元にも及びませんよ」 言いながら鍋のソレをグラスに注ぎ、最後にシナモンスティックを添える。 「マスターにはずっと、僕の憧れと目標でいてもらわなきゃ困りますから」 コン、とグラスを差し出すと中で深紅が優しく揺れた。 「…これは?」 「紅(くれない)ってホットカクテルです。今日みたいに寒い日には合いますし… シナモンの香りにリラックス効果がありますから」 え? と言う表情の真由美さんを見ながら、お見通しですよと言う顔で 「落ち着きますよ?」 そう優しく続けた。
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