事務員募集します。

3/24
前へ
/24ページ
次へ
あの、あの黒い点々は見覚えがある。お父様がお帰りになるときによく飛んできていた…ヘリの軍団だ。 「どうしようかしら…、このままでは確実にお父様に見つかってしまいます。」 FBIに捜索される犯人とはこんなにも不安な気持ちだったのだろうか、私は知らなかった。 自業自得とはいえ、この逃走劇は余りに心的ダメージが強すぎる。 路地裏にはゴミ箱に収まりきらない、ゴミが散乱していて人がまるまるひとり隠れることが出来る。 「う…背に腹は変えられませんわね。やだなぁ」 ゴミの山に足を踏み入れた時に、ムニュと何かを踏んだような感触と、悲鳴。 いえ、悲鳴は私が発してしまったのですが。 「ごめんね。驚かすつもりはなかったんだが、いきなり足を踏み込むとはね。僕も驚きだよ、君も同業者かな? 悪いがここは僕が先に使ってるから君は屋上から見張るといいよ。」 こっちに息をつかせないスピードで喋り出す男(声だけで判断しているが)
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加