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「こんな場所でナンパですか……。生憎、空気の読めない人に教える名前はないですけど」
「ナ、ナンパって……。別にそんなんじゃないっすよ。あなたも意外と酷い人っすね」
ユイは少年がその言葉を口にした途端、体をピクリと反応させた。
「……酷い、か……」
そう呟いて、ユイは小刻みに震える体を止めようと、拳を強く握る。
「名前を聞く時は、まず自分から名乗ること。そうですね、では僕から自己紹介をしましょう」
しかし、その少年はそんなユイの後ろ姿を見ても、その拳の意味を聞くことはしなかった。
そして少年はユイの後ろで軽く咳払いをし、ユイとは異なる明るい声で挨拶をする。
「僕は、高橋 コウ。走り高跳びが好きな、ここの神社の跡継ぎっす。よろしく」
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