哀歓世界

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「最近、お姉ちゃんのところに来れなくてごめんね。こんな私でも忙しかったんだ」 ユイは他に誰もいない墓地の中で、その墓石に向かって話しかける。 「聞いてお姉ちゃん、手術は成功したよ。お医者さんがもうこの眼帯、外しても大丈夫だって」 ユイは右目の眼帯を指差した。そしてユイは笑いながら話を続ける。 「生まれた時から視力が無かったこの右目が、見えるようになるなんて思わなかったよ。 今までずっと付けてきたこの眼帯とも、お別れだと思うとちょっぴり寂しいな、なんて。 ううん、寂しいなんて言うのは間違ってる。私はお姉ちゃんには本当に感謝してるんだよ」 ユイはそう言って、その墓石に今の自分ができる精一杯の笑顔を振りまいた。 「まだ私は信じられないや。お姉ちゃんが、死んだなんて。この世界に、もういないなんて……」
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