春は桜のごとく

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春は好きじゃない。 春が来る度、俺の周りから人が去っていくような気がして。 マオジア日本支部で有数の 魔術学園都市内の桜並木。 俺はそこでそんなことを考えていた。 俺は、今から入学式の高校一年生。 家族構成は母・姉・弟。 母と父は離婚したから、今、親父がどこで何してるかも分からない。 親友と呼べる存在は寛之(ヒロユキ)だけだろう。 幼稚園からの幼なじみで、俺の一番の理解者。 学校こそ違うものの、同じ学園都市内だから 寮内や食堂で会える。 幼稚園からの幼なじみならもう一人いた、が…… その子は誰にも、何も言わず どこかに引っ越してしまった。 それから全くの音信不通。 誰も連絡先を知らない。 寛之と俺とあの子で過ごした幼稚園時代。 あの頃は楽しかった……とかは言わないでおこう。 名前さえ忘れてしまったあの子。 そう言えば、あの子が引っ越していったのも、春だったな………。
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