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「うん……何よりも、先生の夢を壊さなくて済んだのが、ほっとしたよ」
「俺の?」
「うん。だって、大学院辞めて先生に戻ろうとしてたでしょ?
せっかくここまで頑張ったのに、途中で辞めさせてしまうなんて絶対嫌だったもん」
自分の今後より、俺の事を考えて悩んでいた、というのが菫らしい。
「甘いな。
確かにK大は諦めたとしても、専修免許は通信で取れる。
お腹の子も免許も、俺は諦めないつもりでいたよ。
もちろん、菫の大学も、な」
そう言うと、彼女もやっと涙を拭きながら微笑んだ。
「よくばりだよね、ホント」
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