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そう。 見渡す限り、 女、 女、 女。
360度、 どこを眺めても男など一人もいない。
「あ――」
完全に場違い状態である。
当の本当にである彼も、口を開けたまま呆然としていた。
そんな中、沙希はというと、
「あぅ――」
両手で頭を抱えて、机に突っ伏して慎と同じように唸っていた。
白昼夢と信じたい彼女だったが、いくら頬を抓っても覚めない。
意味もなく視線を左右に移しては戻す。
挙動不審なのも甚だしいだろう。
「……」
ふと教卓の方に視線を移して――
「……あっ」
「っ!?」
慎と目が合う。
沙希は『しまったっ』と、 慎は『何で彼女が!?』という具合である。
いち早く展開が読めてしまった沙希は、 ただどう説明をするかだけを延々と考えていたのであった。
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