僕の日常

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それどころか、 ブランケットには確かに細い体の輪郭が横向に浮き上がっている。 最早疑いようもなく、 慎の実姉こと御堂 漆が傍らで寝ていた。 (だぁぁぁあああ!! 何で姉さんがここにぃぃぃ!) 余りの出来事に、 慎は心の中で叫ぶ。 「うう……ん」 漆は、 動揺する慎の気配を感じたか、 小さく息を洩らしながらくるんと寝返りを打った。 そこでようやく右手が胸から離れ、 慎は一先ず危機を回避する。 「……あわわわわ」 機を逃さんと、 急いでベッドから飛び退く。 胸はまだ早鐘を打つようにばっくんばっくんしている。 「……朝から心臓が止まるかと思った、 全くいつの間にか忍び込んだのやら……」 昨日は普通にベッドで寝た筈――だったような? そういえば昨日は…… 「尋問されて、 拘束されて……いつ寝たんだ?」 記憶が曖昧で思い出せない。 「……なんでこうなっちゃったかな……」 昔はこんなにブラコンな姉じゃなかった。 それどころか、 昔はもっと冷たい表情で、 それこそ凍りついた目をしていた時期があったと記憶している。 「もう三年か……」 僕が姉さんと初めて会った日。 もう、 忘れたと思ってた。 「あの時からなんだよな~漆姉さんがあんな性格になっちゃったのは」 自分の大胆すぎる行動を思い出し、 慎は悩ましそうに頭を右手で押さえる。 それは慎が中学に入学した日――
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