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「はぁ……」
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慎はというと……自分の教室にいた。
あの後、直ぐに目が覚めて事なきことを得たが、 もしあのまま目覚めなかったらと思うと気が気でならない。
眼前に漆の顔があり、急いで飛び退いたはいいが、あの時は本当に心臓が飛び出る程慎は驚いていた。
(全く……僕らは姉弟だってのに、 姉さんは……)
ブツブツと心の中で呟く。
と、不意に
「よっ、 おはよっすだぜ慎!」
肩に手を置かれる感触。
振り向くと、 そこには一人の男がいた。
身長は慎と同じくらいで、髪は少し長めの長髪。
制服は少し着崩しており、右手には鞄が掲げられていた。
名を結城 秀一。 慎の親友とも言える間柄である。
「おはよ、 秀一」
「おはようさんっと、 それよりどうした? 辛気くさい顔して」
「そう?別に大したことはないよ」
「ふーん、 そっか。 ならいいけどよ」
秀一は別段気にする様子もなく、 自分の席に鞄を提げる。
そして再びこちらまで寄ってきた。
「それよりどうだ? 最近は」
「最近は? どういうこと?」
突然、 秀一は前置きもなく慎に尋ねる。
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