交換留学

26/36
前へ
/490ページ
次へ
――――――――――― 「粗茶ですが」 「おっ、ありがと」 まだ淹れたてのお茶を、悠の前に丁寧に置く。 湯気が立ち上る中、悠はゆっくりと口を付ける。 「既に客扱いな点は否めないが、有り難く頂くよ」 ごくっと両手で持って一口。 「――って苦っ! 苦すぎるよ慎!」 「"粗茶"と言ったでしょう?」 「意味がそのまんま過ぎる!」 ぶはっと、 お茶を吐き出しながら蒸せる悠。 慎はそのまま悠と向かい合うように座り、彼と正面から向き合う。 「……」 ぎゅっと慎の左腕に力が加わる。 言わずもがなそれは漆によるもので、彼女もまた正面にいる悠を睨んでいた。 (姉さん……) 腕から伝わる感覚が"憎悪"の感情だと慎は直感する。
/490ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14028人が本棚に入れています
本棚に追加