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「無し! 今の無し! 何でもない、何でもないんだから!」
誰に聞かれたわけでもないにも拘わらず、沙希は枕を抱えて悶える。
数秒間、 ベッドの上を転がったのち、思い出したかのように、
「明日は神前学園から交換留学生が来るんだった――遅刻したら顔を拝めなくなるかも……早く寝ないと」
布団を頭から被り、明日に備えて就寝する沙希。
そしてぽそっと布団から顔を出して呟く。
「もしかして慎が選出されたりして……」
冗談混じりに沙希は言うが、それはない、と即座に断言する。
「なんてね。女子校だから慎が来られる筈ないわよね」
そして再び布団に顔を埋め、沙希は消灯して就寝した。
しかし、彼女は気づいていない。
軽率に言った予想が、まさか本当に実現してしまうとは、 と。
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