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『明日からあなたも大人ね』
『うん』
また場面が変わっていた。
今度は夜でさっきの親猫と大きくなったイオンがいた。
その近くには茶色の猫が寝ていた。
「あれが僕の姉さんだよ。アルト姉さん」
イオンの独り言のような声が聞こえた。
イオンとアルト姉さんは無事に大人になることができたのだ。
『ねぇ本当に旅に出ないといけないの?』
『そうよ、あなたは大人なんだから』
『なんで大人になると旅に出ないといけないの?』
『猫の掟だから……あなたは大人になったの。明日から世界に旅立ちなさい』
『……うん』
イオンはいまいち納得していなかった。
イオンはお母さんとお姉さん大好きだった。
出来れば旅になんか出たくないと思っていた。
猫の掟、それだけの特に理由のないものだけで家族と離れなければいけない。
時が来れば旅に出ないといけない。
イオンは眠りについた。
まだ頭の中はモヤモヤとしていた。
まだイオンは精神的に大人になっていなかったのだ。
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