1杯目

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行くあてなどどこにもない。 ただ現実から目を背けられる場所を求めるかのように無意識のうちに足が動く。 今ここがドコなのか把握する事すら、もう怪しいところだ。 徐々に街灯と街灯の間隔が広がり、明るさがぼんやりとしてくる。 気付けば周りに人は少なく、ひんやりとした空気だけが彼を包み込んでいた。 彼はようやく足を止めるた。 もう、疲れた。 もう、何も考えたくない。 もう 、 もうこのまま眠ってしまいたい… まるで糸が切れたマリオネットのように、悠翔はずるりと座り込む。 疲労と寒さに支配された頭に浮かぶのは、彼女の溢れんばかりの笑顔だった。 「柚輝…」
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