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「私にはあなたの過去も未来もわかるのよ?
だけど、あいにく"それ"は私の管轄外だから。」
「それ…?」
少女の言葉に、悠翔は小さく首をかしげた。
それとは一体なんなのだろう。
「あぁ、わからない!
わからないでしょうねぇ
いいの、あなたは知らなくていいのよ
"それ"もあなたに知られる事は望んではいないわ。」
少女はそう言うと、ほぅっとため息をついく。
そして白磁のような白い腕を差し出した。
「こんな所にいたって何にもならないでしょ。
仕方ないから、私が解決できる所につれていってあげるわ。」
感謝しなさい、とでも言わんばかりの態度の少女の手をとるのに、不思議とためらいはなかった。
怪しい少女だというのに
もしかしたら、心のどこかで、この少女にすがる気持ちがあったのかもしれない。
いや、きっとそうなのだろう。
この苦しみから救ってくれると言うなら、悪魔にだってすがったに違いない。
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