1杯目

5/6
前へ
/9ページ
次へ
「私にはあなたの過去も未来もわかるのよ? だけど、あいにく"それ"は私の管轄外だから。」 「それ…?」 少女の言葉に、悠翔は小さく首をかしげた。 それとは一体なんなのだろう。 「あぁ、わからない! わからないでしょうねぇ いいの、あなたは知らなくていいのよ "それ"もあなたに知られる事は望んではいないわ。」 少女はそう言うと、ほぅっとため息をついく。 そして白磁のような白い腕を差し出した。 「こんな所にいたって何にもならないでしょ。 仕方ないから、私が解決できる所につれていってあげるわ。」 感謝しなさい、とでも言わんばかりの態度の少女の手をとるのに、不思議とためらいはなかった。 怪しい少女だというのに もしかしたら、心のどこかで、この少女にすがる気持ちがあったのかもしれない。 いや、きっとそうなのだろう。 この苦しみから救ってくれると言うなら、悪魔にだってすがったに違いない。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加