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「お久しぶりです……母さん、父さん」
一年前のこの日以来である。一年も経てばやはり墓石も汚れている。
「今から綺麗にするね」
まず水を上から掛けブラシで丁寧に擦っていく。
それからまた水を流し綺麗になったのを確認してから摘んできた花を添えた。
「花……買えなくてゴメンね。 綺麗な花を選んで摘んできたから…」
綺麗な花を添えられない……そう思うと悲しくなってくる。
けど……もう泣かないって決めたんだ。
「今年は……あの家を出ようと思う。 仕事探すの大変だけど……今までに比べれば全然マシだと思うよ」
それから一時間一人墓の前で喋っていた。
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