♯00

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あれは、私が大学二年の時…相手は、バイト先で知り合って、意気投合した同い年の男の子。 『梨花、オレと付き合って欲しい。』 『うん。』 始めるきっかけを作ってくれたのは、彼の方だった。同い年とは思えないほどのしっかりした包容力で私を包み、惜しみなく愛を注いでくれて。そして、私も“すべて”を彼に捧げ、尽くし、愛した。 でも、その私の“すべて”が2人の関係を崩していった。 半年を過ぎた頃から…毎日のメールが途絶えはじめ、電話もしなくなった。バイトの休みを一緒に合わせることもなくなった。会っていても、沈黙の時間が増えてきた。 彼の変化に気付いてなかったわけではない。でも、いつか戻ると信じ、見て見ぬ振りをした。だから、自分の愛を、すべてを、彼に注ぎ続けていた。 だけど、ついに…。 恋の天秤は、ガチャン、と大きな音をたてて片方に大きく傾いてしまった。 『他に好きな子が出来たんだ。別れよう。オレには、梨花の気持ちは重過ぎた。』 .
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